皮膚科標準治療

最終更新日 令和6年4月18日

円形脱毛症は自己免疫性脱毛症と言われており、免疫異常とそこからの炎症反応に伴う病変と考えられています。

よって治療内容は抗炎症作用と免疫抑制作用を有する薬物治療が主体となります。

 

では「その免疫異常はどこから来るのか?」という問題はこの数年の日本皮膚科学会で確認する限り全く話題になっておりません。免疫異常の仕組みの解明がなされており、その仕組みを利用した治療薬の進化はなされています。

殆どの患者さんは病気の原因として医師から聞いている話は、「病気の診断」と「病気の仕組み」であって、「病気になる引き金(原因)」の話はあったとしても殆ど話題になりません。

それは国内の皮膚科医と学会が主導している治療の位置づけは投薬治療による対症療法で、原因の除去や病気からの解放が見込まれるような診療は行われていないからです。

ですので、保険診療で皮膚科の先生に治してもらった場合、その先生に出来る事と出来ない事がある事になります。

ここに日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版で述べられている国内皮膚科標準治療を簡単にまとめました。

上記で述べましたが皮膚科保険診療での脱毛症に関しては、抜け毛の改善からはじまって、出来ないことだらけです。

以下に皮膚科標準治療を受ける目安をお伝えします。

 

1 クリニック受診で、皮膚科診療標準治療の投薬・処置(ステロイド注射/紫外線療法/凍結療法)で改善が十分に見込まれる条件

・抜け毛が停止していること

・抜け毛の範囲が頭髪のみである事

・頭髪の抜け毛の範囲が髪型が変わらない位である事

・治療のゴールが原状復帰であって、原因の対策や再発対策を希望しないこと

・半年以上の継続かつ定期的な通院が出来る事

処置を希望する場合は毎週通院が出来る事

・原状復帰を目指す事と病気から完全に開放される事を目指さない事

 

2 専門医療機関(大学病院脱毛症専門外来/保険診療脱毛症専門クリニック)を受診しても治す事が困難な事

・抜け毛の改善

・頭髪以外に脱毛が生じた場合

・頭髪が髪型が変わる位に抜けた場合

・標準治療で難治な場合

・繰り返す脱毛症を食い止めたい場合

・原因からの根本的治療と再発対策

・1-3回程度の通院で治してほしい場合

・病状の今後の動向の見極め(もっと抜けるのですか?)

・処置を希望していても毎週通院できない場合

・内服薬で治った場合に、その薬から最終的に解放されたい場合

・脱毛症の原因が、感染症以外だった場合

 

3 専門医療機関(大学病院脱毛症専門外来)を受診が推奨される場合

・急激に進行する脱毛症で、今回が初発で、発症して半年以内の場合(ただし治療で入院が前提)

・毛穴にフケが詰まっている場合(瘢痕性脱毛症の可能性)

・重症脱毛症に対して新薬の免疫抑制剤で治療してほしい場合(薬代で月5万円位かかります)

・(膠原病、甲状腺疾患等)合併する内臓病変の精密検査と治療が必要な場合

 となっています。

 

(特に初めて)脱毛症になった方は、上記情報をヒントとして医療機関選びをお勧めします。

 

実際、単発型円形脱毛症から2-3個位の多発性脱毛症で抜け毛が止まっていて原因を気にしなければ、保険診療標準治療(投薬+処置)でも8割以上の方が3-6ヶ月の治療期間で改善を認めるまたは治っています。

皮膚科国内標準治療について

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドラインで記されている保険診療で通常行われている治療は上図の右上の赤丸の部分に相当します。

こちらについて当方の見解を説明していきます。

 

何もしない

当院としては推奨はできませんが、全くの無治療でも単発円形脱毛症で抜け毛を伴わない場合は、1年後に最大25%の確率で治っていると報告もされています。

ただ、病気が発生したときに未来にどうなるかの見込を評価する検査は存在しませんので、悪化しない約束をする事はできません。

病状の改善のために通院の余裕がない方にとっては有用な情報になると考えましたので、あえてトップにお持ちしました。

ステロイド外用剤

効果:軽度の脱毛症に効果

副作用:ほぼなし(稀に真菌感染症、ニキビ)

 

当院使用:〇

 

円形脱毛症の病理組織学的所見では、毛包周囲に炎症が生じているという事で、上図の慢性(免疫)炎症を改善させるために、抗炎症作用のあるステロイドを使用します。

添付文書では円形脱毛症の改善率は約44%といわれています。

 

内服薬もありますが、内服薬は深刻かつ致命的な副作用を生じることがありますので、メリットデメリットの観点から国内のみならず世界中で治療に使われています。

皮膚が厚いと強い薬が必要になり、頭部の皮膚の厚さに合わせて薬効の強いタイプのステロイドが常用されます。

抜け毛が止まっていて軽症の脱毛症はこれだけでも治る見込みがあります。

当院の方針としては、いずれのタイプの脱毛症でも費用の安さと安全性より、使わない理由がないことから通常的に治療手段として使用します。

 


セファランチン

効果:軽度の脱毛症に効果

副作用:当院経験なし

当院使用:〇

 

 

セファランチンはタマサキツヅラフジ抽出アルカロイドで、抗炎症効果、副腎皮質ホルモン産生増強作用、抗アレルギー効果、血流改善効果、免疫増強効果、造血機能改善効果、抗腫瘍効果等多彩な効果を見込まれる薬剤です。

下図で説明していますが、人体で炎症を起こす生体物質の生成するシステムがあり、そのアラキドン酸とホスホリパーゼA2 を阻害する作用があります。位置づけとしてはステロイドに近いものと考えられます。

よくある話としてはマムシ咬傷に使用される薬剤です。

過去にはAGA治療で主薬に併用して効果があった報告があります。

 

添付文書では、(病状は不明ですが)円形脱毛症の改善率は50-65%と記載されています。

副作用はアレルギー、アナフィラキシー、消化器症状、皮膚症状とどの薬にもよくある症状が色々添付文書に書いていますが、何千回処方しても経験した事がないです。

 

その作用は炎症を起こす成分のアラキドン酸代謝に作用すると考えられています。

そういう意味では副作用の伴わない痛み止めやステロイド剤に近い位置付けかもしれません。

 


規格は1錠1mgで、円形脱毛症の場合は3~6mgの内服と保険診療では投与量が設定されています。

 

良いことづくめの薬剤に見えますが、実は世界中でこの薬剤を脱毛症に保険でしようしている国は日本のみです。

可能性として理由は、

1医療費が高額な海外では公的医療財源の持ち出しを適

正化するため、対費用効果が厳しく判断されて、海外では効果が乏しい薬剤は出回らなくなる事

2投与量の設定が上手くいっていなく、効果の実証が出来ていない事

が考えられます。

 

実際国内の自費医療機関では、難治性脱毛症にセファランチン大量投与療法(100錠以上/日)にて効果がある情報が出ている事から、保険適応の投与量では病状次第では効果が見込まれると考えることが出来ます。

当院でも重症の脱毛症(頭髪広範囲~全頭型・全身性)に保険適応の投与量を使用して改善を認めたケースは経験がありません。

 

上記情報をまとめると保険適応でのセファランチンは、

・世界中で脱毛症の治療に関しては評価されている薬でない

・軽症の脱毛症には保険適応での使用方法でも効果が見込まれる。

・安全性が高く、(保険では)医療費も安い

と考えることが出来ますので、(特に重症例では)出さないよりは出した方がマシという位置づけになり、海外では使用されていない事から、軽症の脱毛症に関しては医療費の問題より円形脱毛症の治療薬としては無くてもよい薬となると思います。

 

 

ちなみに円形脱毛症にこの薬だけ処方するという事は当院ではおこなっていません。


セファランチン大量投与療法は原因改善外来(自費診療)で行っております。

抗アレルギー薬

効果:アトピー性皮膚炎合併した軽症例に○

副作用:希に眠気、高齢者だと希に尿閉

 

当院使用:△(アトピー性皮膚炎が合併している場合)

 

体内のアレルギー反応により産生されるヒスタミンという生体物質を抑える薬剤で、ヒスタミンにより人体はアレルギー反応の炎症を起こすことが分かっています。

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版には、アトピー素因のあるケースでの単発/多発型には併用療法として推奨されています。

調査していたらアトピー性皮膚炎が持病である脱毛症患者さんには抗アレルギー薬が効いた位の話で、「何故にどんな感じに効いた」はよく分かっていない薬です。

かといって、アトピー性皮膚炎を有していない円形脱毛症の患者さんが沢山いる限り、この薬だけで治ったみたいな事は期待できないと思います。


グリチロン(グリチルリチン酸)

効果:見込まれる(改善率 56.7% 以上)

副作用:電解質異常 1.7%

 

当院使用:× 電解質異常(カリウム低下)を来すため。

この薬剤は、副腎皮質ホルモン(ステロイド)に近い薬剤です。作用も上述のセファランチンと同じ部位に働きます。漢方の生薬の甘草の主成分となります。

この薬剤はステロイドの内服薬を使う位なら、副作用が軽いからOK位の位置づけで自己免疫性炎症を抑制する目的で使用されています。

当院では約60人に1人に偽アルドステロン症(低カリウム血症、高血圧、むくみ)を副作用として発症するので、使用していません。

この薬は、安全性より血液検査をしてその日に検査の結果が出る位の体制の医療機関でのみ処方すべきと考えます。


フロジン液(塩化カルプロニウム)

効果:見込まれる

副作用:かぶれ、塗布部位の火照り

 

当院使用:○ 安価で安全なため

血流改善作用を有しています。

独特な匂いを有しています。

血行改善からの育毛作用より、古くから市販育毛剤(カロヤン)として使用されています。ちなみに出典は覚えていないですが、塩化カルプロニウム液のAGAへの有効率は17%程度と記憶しています。

添付文書では円形脱毛症への有効率は55.9%と記されています。

病状の軽い円形脱毛症で発毛してきた段階での使用には相応しいと思います。

 


ステロイド局所注射

効果:抜け毛が止まっており、脱毛面積が小さい多発性脱毛症までには十分な効果が見込まれます。

副作用:かぶれ、塗布部位の火照り

 

当院使用:○ ~△ 注射自体は結構痛いです。

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドラインでは1番有効性が評価されている治療手段です。

塗り薬で使用しているステロイドを注射でガッツリ効かせてやろうという治療方法です。

抜け毛が止まっていて、脱毛面積が小さい場合は効果が見込まれます。

生え際に発生する蛇行型や紫外線照射/凍結療法が無効でも効果が見込まれます。

通院は1回/月となります。

とても痛いです。

抜け毛をとめる作用はありません。

当院では痛みに弱い方には最初から行っておりません。

この治療は皮膚科専門医の先生なら誰でもやっている筈です。

抜け毛があるときは行いません。


冷凍(凍結)療法

効果:抜け毛が止まっており、脱毛面積が小さい多発性脱毛症までには十分な効果が見込まれます。

副作用:原則無し

 

当院使用:○  ただし、毎週の通院が必要です。

古くからある治療法です。

何で脱毛症が治るのかはよく分かっていないですが、治るから国内外で行われています。

処置中の冷たさはありますが、それ以上の辛さはありません。

抜け毛が止まっていて、脱毛面積の小さい蛇行型を除いた多発性脱毛症までには併用治療として効果が見込まれます。

毎週の通院が必要です。

この治療は皮膚科の先生なら誰でもやっているはずです。

抜け毛があるときは行いません。


紫外線療法

効果:抜け毛が止まっており、脱毛面積が小さい多発性脱毛症までには十分な効果が見込まれます(約80%)。

副作用:節術の赤み、痛み、痒み、かさつき、傷

 

当院使用:○  ただし、毎週の通院が必要です。

皮膚病には紫外線が効くというのは昔からの定番の治療法ですが、これも何故効くのか分かっていません。

脱毛の部分に照射器を用いて紫外線を照射して病状の改善を図ります。

処置中の痛みはありません。施術時間は全頭型脱毛症で最大25分位かかります。

有効率は面積の小さい多発性脱毛症までで80%位、それ以上になると30%位です。

蛇行型は効かない印象を持っています。

毎週の通院が必要です。

当院は機材を持っていますが、どこの医療機関にある訳でもないので、ご希望の方は事前に確認をお勧めします。

抜け毛があるときは行いません。


ステロイドパルス療法

効果:急速に進行する脱毛症で、初回発症かつ発症半年以内の場合、改善率58%

副作用:血圧上昇、不整脈、高血糖、精神障害、むくみ、動機等

 

当院使用:○  提携医療機関で最低2泊3日の入院が必要です。

後述の重症または広範な脱毛症に対しての治療の有効率は30-40%とあまり当てにならないだらけの中で、条件付きも比較的まともな治療方法です。

短期間に大量にステロイドを点滴で体内に直接投与して炎症を抑えて、病状を改善させる治療です。

急激に進行する脱毛症(ADTA:急性びまん性全頭型脱毛症)に、初回発症かつ発症半年以内なら58%の有効率と報告されています。

しかし、半年超えた場合の改善率は18%程度、再発時も同程度と報告されていました。

 色々副作用言われていますが、結構安全で大丈夫です。

入院施設を持った病院皮膚科で行われています。

脱毛症が専門外の先生の病院に依頼して断られたことがあります。

当院は提携病院に依頼して行っています。

最低でも2泊3日の入院が必要です。


局所免疫療法

効果:髪型が変わる位の脱毛症で抜け毛が止まっているケースについては効果が見込まれる。

副作用:かぶれ(かゆみ、赤み)、リンパ節炎

 

当院使用:× 当院としては不要な治療と考えています。

自然界に存在しなくて人体が触れるとかぶれてしまう化学物質を用いて、かぶれさせたその反応で病状を改善させていく治療法です。

脱毛症ご専門のとある大学の教授のご意見としては、「かぶれさせる事による免疫抑制がこの治療の作用」と言っていました。

髪型が変わる位の脱毛症から全頭型脱毛症までには安全性も高いので、頻用されています。

この治療は保険適応がないのですが、当院不採用な事と保険の皮膚科の先生が取り組んでいますので、皮膚科標準治療に掲載しました。

当院の治療方針と免疫抑制は相反しますので、不採用です。昔は取り組んでいましたが、使わなくても治る方が多く出てきた段階で終了としました。

通院は2週間に1回程度は必要と思われます。

有効率は30-40%位と言われています。

以下にとある皮膚科の先生の報告をお見せします。


デュピクセント(デュピルマブ)

効果:アトピー性皮膚炎合併のあらゆるタイプの脱毛症に効果が見込まれます。

副作用:結膜炎。他重篤な副作用なし。

 

当院使用:× 皮膚病だけ治すのに3割負担で月5万円は高いと思います。

分子標的薬という薬があります。

内科だとリウマチ等の自己免疫疾患に対して使われる薬剤です。

インターロイキンという体内に存在する炎症を起こす信号のような生体物質を抑制して炎症を沈静化し、病状を改善する作用を有する免疫抑制剤です。

アトピー性皮膚炎を合併した円形脱毛症のケースに有用です。

薬代が高額で、3割負担で月5万円かかるようです。

また、自分で自身に注射を打つか、隔週の通院で注射を打って貰うかが必要です。

重症例が内服ステロイドよりも安全に治せる手段としては素晴らしいですが、手間と費用に問題が残ります。

また、薬剤注射を中止すると脱毛症が再燃する可能性があると考えます。

脱毛症のみの治療目的で保険適応はありません。

当院不採用です。アトピー性皮膚炎のある方のみ皮膚科専門医にご相談下さい。


オルミエント(バリシチニブ)/リットフーロ(リトレシチニブ)

 効果:重症脱毛症(全頭型、全身性)に効果あり(有効率 36%)

副作用:種々の感染症。妊婦・授乳中は×腎機能の悪い方は×

 当院使用:× 皮膚病だけ治すのに3割負担で月5万円は高いと思います。

JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬という新しいタイプの免疫抑制剤です。

高額ですが、月5万円程度の薬代がかかります。

難治性脱毛症・重症脱毛症に36%の有効率があると報告され、2022年に円形脱毛症への保険診療使用承認がおりました。

高額ですが、安全性に関してはステロイド全身投与よりはマシという事になります。

前述のデュピクセントと比べるとアトピー性皮膚炎を合併していなくともOKな点が良いです。

しかし、薬剤内服を中止すると脱毛症が再燃する可能性があると考えます。

当院この薬剤での治療は行っていません。

例えば月5万円出し続けて皮膚病のみを治したい方には推奨できると思います。


ステロイド内服

効果:抜け毛の改善、あらゆる脱毛症の改善

副作用:糖尿病、脳梗塞、骨粗鬆症、免疫低下に伴う感染症、皮膚菲薄化、脳梗塞、消化管出血、電解質異常

 

当院使用:×  上記の合併症と脱毛症の改善を天秤にかけるかける事は医師としては出来ません。

免疫抑制及び抗炎症作用を有している薬剤です。

病気の原因が何であれ関係なく、強制的に炎症を取って病状を改善させます。

病状が改善した時に、内服量を減量すると脱毛症が顕在化して悪化していく事が見込まれます。

対症療法(その場しのぎ)ですので、やむを得ないです。

一定量を超えた内服を長期間行うと、上記の合併症が生じます。

当方の幼なじみは結節性多発動脈炎でステロイドを長期間内服して、脳梗塞で亡くなりました。

後述の新生代の免疫抑制剤の安価なジェネリックが出てくると、使われなくなる薬になっていくだろうと考えます。


 

外用剤

内服薬

 

処置(局所療法)

 

注射/点滴

 

ステロイド

フロジン

セファランチン

抗アレルギー薬

ステロイド

オルミエント/

リットフーロ

凍結

療法

紫外線

照射

ステロイド

注射

局所免疫

療法

 

ステロイド

パルス

療法

デュピクセント

当院

不採用 不採用

提携医療

機関で

不採用

皮膚科

診療所

人による 医療機関による ×

大学病院等

皮膚科

専門外来

 

保険

アトピー

あれば

× ×

範囲

広ければ

アトピー

あれば

入院

×

 

 

 

時々

必要

×

必要 ×

重篤

合併症

○~△ ×

ほぼ×

抜け毛改善

××××

 抜け毛なし

単発型

 有効率

44%

有効率

55.9%

有効率

50%

以上

アトピー

あれば

適応なし

 

有効率

約80%

適応無し

抜け毛なし

多発型

髪型不変

多発型

髪型変化あり~全頭型

施術方法による

×

有効率

36%

×

有効率

約30%

×

有効率

 

施術部位のみに30-40%

×

 

頭部以外は適応なし

抜け毛+で

初発

発症半年以内

有効率58%

アトピー

あれば

頭髪以外の部位の脱毛~

全身性脱毛症

×

×

×

病型問わず

抜け毛あり

抜け毛が治ったら自然治癒

 

抜け毛が治ったら自然治癒

抜け毛自体は経過観察

×

保険3割負担での費用

 

 

安価より割愛

 

 

3-5万円/月

1000円以円以内/回

1000円前後/回

1000円以内/回

自費より?

2万円/回

3-5万円/月

これらの治療手段をいくつか組み合わせると、髪型の変わらくて抜け毛の生じていない(後になって脱毛が広がっていない)円形脱毛症は当方の印象ですと、80%位の有効率があると考えます。

髪型が変わる位、頭髪以外の脱毛が生じると有効率はどれをとっても30-40%位になると思われます。

漢方/鍼灸(東洋医学)

当院漢方内科を専門としていますので、脱毛症診療には常に用いています。

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドラインでは評価されていませんが、とても有効で必要なものです。

鍼灸は病状/経過/ご希望によっては推奨しますし、当院からも依頼相談を行います。

 

東洋医学を併用するメリットは以下と考えます。

・円形脱毛症の原因となりうる未病(疲れ、冷え、自律神経失調症、血行不良、虚弱)に対する対症療法を行うことができる。

・上記未病の治療により、健やかな心身を得る事が出来る

 

当院の漢方治療は保険適応で行っています。

その他ガイドラインで述べられている治療

直線偏光近赤外線照射療法、レーザー治療/PDT、 シクロスポリン A 内服療法、抗うつ薬/抗不安薬の内服、タクロリムス外用療法、プロスタグランジン製剤の外用療法、ビタミン D 外用療法、レチノイド外用療法

これらの治療は当院として現段階としては必要と判断していないので、割愛します。

まとめ

皮膚科標準治療の実際をまとめます。

・原因の検索と対策は総論存在しない

・抜け毛が止まっていて、脱毛症の面積が頭部のみで小さい場合は、局所療法込みなら有効率80%以上

・抜け毛がある場合、初発かつ半年以内の発症かつ頭髪25%以上の面積の脱毛があると入院ステロイドパルス療法で58%

・抜け毛が止まっていて、脱毛面積が大きいまたは頭髪以外にも認める場合、何をやっても新薬含めて有効率30-40%

・局所免疫療法だと、頭髪以外の改善は見込めなく、また自費診療。新薬免疫抑制剤は費用は3割負担で月5万円Start

・最先端の研究は重症の治療手段の適正化がなされているだけで、希望の光になるわけではない。

・上記以外、(抜け毛が緩徐な場合で脱毛面積が小さい)、頭髪の病状が小さい割に頭髪以外に病変を認める場合はまともな治療手段なし。

・休止期脱毛症、FPHL、FAGAが合併していると保険適応ガイドライン診療だとほぼ治せない。